年末年始と婚姻届審査の舞台裏

岩永美香と申します。
現「有限会社アポロ情報工業 代表取締役社長」
元「水戸市役所職員」別名「スーパーダメダメ公務員」
今年の最後に戸籍係の年末年始と婚姻届の話題をお届けします。
戸籍の窓口は年末年始も空いています。休日窓口と言いまして年中無休です。
世紀の変わる2000年の元旦は婚姻届を出す人が「150」組くらいいて、とても忙しかったと聞いています。
私が戸籍係在職中の婚姻届の最高届出数はクリスマスイブと大安がぶつかった日の、 「56」組だったと記憶しています。それでもかなりバタバタと忙しかったので150組はどう対応したのか・・・想像もつきません。
そういえば、最近は婚姻届にキャラクターを入れたり、カラフルに可愛くして、自治体も結婚を促進し、少子化に歯止めをという取り組みが全国的に広がっているようです。
私の勤めるアポロ情報工業では「KOSEKIガイド」という戸籍受付支援システムを開発し、近隣市町村の営業周りなどもしていますが、今年最後の営業周りでこんな話を聞きました。
「最近、可愛い婚姻届を利用して届出に来る人たちが増えたんだけど、市町村によって様式が違うからどこを見ていいのか分からないし、婚姻届なんて役所で預かってしまうのに可愛くして意味があるのかなぁって思うんですよ。」と担当の方のご意見。
確かにそうだなと思いました。そこで
「複写式になっていて、記念用に自分たちのもあるんじゃないですか?」と聞いてみたところ
「審査前の間違っているかもしれない届出書で意味あるのかしらね。一番嫌なのは、戸籍の審査って凄く神経使うじゃないですか。その届出審査をしている時に結婚の記念写真の撮影を戸籍係でやれって言われて、『ふざけんじゃない』と思いましたっ!」
そうなんですよね。すんなりと問題なく受理できる婚姻届ばかりではなく、特異なケースもあり、そういう届出は審査に神経を使います。また、いくら日が良くても窓口に来るのは婚姻届ばかりではありません。
戸籍係でなく写真撮影専任の方を決めた方が、双方とも気持ち良いのではないかと思います。
戸籍は、まずは間違わない事が最優先で、もし受理をしてはならない届出を、誤って受理してしまったら間違えた職員・市町村の責任の範疇内だけでは修正が利きません。
婚姻届を受理をしてはならないパターンとしては、妻に前婚があり前婚の解消から100日が過ぎていない、戸籍上は別の人と結婚していることになっている、夫・妻のどちらの氏を名乗るのか書いていないなど、その他に外国人と日本人の婚姻、外国人同士なども審査が大変です。
戸籍係にいた頃は、「大安の日は戸籍係にとっての厄日」みたいな事を言う人もいましたが、確かに平穏に仕事を終えられる日ではなかったと思います(THE職業病)。
話は戻りますが、結婚の記念写真で嘆いていた先ほどの某役所の方から、営業の帰り支度の間際に「KOSEKIガイドで予算要求してみますね。」と言って頂き、今年の営業としては最高の締めになりました。
後から聞いたら、他のシステム(エッっあるんだ!)も同じ時期に借りて比べていた(やるなぁ)そうで、「困った担当者の身になって開発されている」点を評価してくださったとのこと。
「元スーパーダメダメ公務員」の経験もしておいて良かったと思う話でした。
どんな経験則も生かせれば宝だと、ダメダメだったあの経験で今がある事を実感しました。
今がダメダメではないかというと「ウーン?どうだろう」という感じですが、デキが良くなかったからこそ痛みが分かるのかもしれませんよね。
2016年大晦日のブログでした。
新年もどうぞよろしくお願いします。
コメントをお書きください